商売は、成功するか失敗するかのどちらか。
とても、シビア―です。
自分は、21年前の2月8日に花屋の1号店を立川にオープンしました。
21年前の明日です。
ちょっと、今日、振り返ってみます。
花屋のチェーン化は、一日にしてならず!
1、市場に丁稚奉公が、成功の第一歩
なぜ、花屋をしようと思ったときに、
市場に丁稚奉公に行ったのか?
自分は、それまで花屋をしたことは、
全くありません。
とりあえず、花のビジネスの本を、
本屋で探しました。3冊ありました。
その中に、法政大学の小川孔輔教授の、
「花ビジネスで成功する法」(草土出版)があり、
花業界で活躍している、市場、花屋、物流企業などが取り上げられていました。
読んで、その日にその市場、埼玉園芸市場に電話しました。
翌日、当時の大野道博副社長(現副会長)と、3時間お話が弾みました。
そして、市場で仕事させて欲しいとお願いし、快諾して頂きました。
埼玉園芸市場は当時、浦和にありました。
独身寮がありましたので、そこを利用させて頂き、
市場の仕事をさせて頂きました。
目的は、花のビジネスのへそが何処にあるのか、
身体全体で、早く掴むということです。
スーパーで15年仕事していましたので、
体を動かす仕事は、大好きでした。
花屋で売る花は、殆どが市場を経由して来ます。
生産者、JAが市場に花を送る。
仲卸しや、強い小売りが、市場の競りで花を買う。
花業界の情報が、市場に集中しているのです。
毎日、競りに参加して、どのように価格が形成されていくのか見る。
その季節のすべての花が見れる。
埼玉園芸には卸部もあり、小さ目の花屋さんが、
切り花や苗・鉢、植木を買いにくる。
商品知識がないので接客は出来ませんが、
取引のやりとりは、傍で聞ける訳です。
価格形成の仕組みが、早く分かったことが、
ビジネス上、一番でしたね。
もちろん、市場直接取引をしようと思いました。
他の、花ビジネスに参入した大手企業は、殆ど卸取引。
会社に来てもらい、あるいは電話とFAXで取引。
誰もが知っている、大手6社は、あえなく全滅。
最初から、楽しては、いけませんね。
汗と涙を、神様は見ているようですね!
2、海外見て回り
当時、世界の花の輸出入の50%は、
オランダ経由でした。
日本の一番大きい市場の10倍の、
アルスメール市場もある。
EU最大のドイツ、花の都のパリも見ておこう。
市場の丁稚奉公を終えてから、一月少しあとで、
ヨーロッパに出かけました。
全て、参考になりましたが、
一番参考になったのが、パリの花屋さんの販売方法です。
今では、世界2位の花屋チェーンのモンソーフルール。
大きなお店で、花束が店の外に素晴らしく多く、せりだしている。
これだな、と直感しました。
日本の花屋の花は、店内の冷蔵庫の中に、
花の名前も、価格もつけずにしまっている。
なんたる違い。
日本の花屋は、花をロスしないようにと、
花を冷蔵庫にしまいこむ。
プレゼンテーションしようという気がない。
パリのモンソーフルールのように、
お客様に一番近づいて、価格がわかるように売ろうと。
当たり前すぎる、当然ですね。
この、モンソーフルールを見て、12年後に、
自分が、モンソーフルールの日本法人の社長になろうとは、
神のみぞ知る、だったんでしょうね。
あとは、パリのカフェの店づくり。
とりわけ有名なカルチェラタンの、
カフェ・ドゥ・マゴ。
若き日の、サルトルやボーヴォワールなどの哲学者や文学者が、
集い、語らっていたカフェ。
そのカフェ・ドゥ・マゴのテントは印象的でした。
他のカフェも、皆んな、いい感じ。
テントが映える。
モンソーフルールの青いテントも、遠くから見て、
あ、モンソーフルールだと、すぐわかる。
やはり、お店はショボい店でなく、
行ってみたいなと、あこがれる店でないといけませんね。
あれから、30店舗のお店を作りましたが、路面店の花屋には、
すべてテントを取り付けたのは、いうまでもありません。
3、徹底した顧客目線
花屋をしたことがない自分は、
花屋を開店するにあたって、何を考えたでしょうか?
自分はこう考えました。
自分がお客様だったらして欲しいことを、
すべてしてあげられるスタッフ、お店、会社になろう!、と。
自分が花屋でなく、焼き肉屋や病院を作っても、
そう考えたでしょうね。
花の場合は、価格、鮮度、品揃え、サービスと4ジャンルに分けました。
安く買いたいから、安く売る。
フレッシュな花を売りたいので、とびきりフレッシュな花を売る。
多くの花に囲まれたいので、大きい店を作り、多くの花、
多くの色の中から選んでもらう。
サービスは、もちろん日本一を目指します。
笑顔は、ただで出来ますから。
その結果、素人でしたが、
1号店の立川店。
初日の売上、201万円。
初年度売上、1億1300万円。
2号店の八王子店。
初日の売上、262万円。
初年度売上、1億7000万円。
聞いたこともないような売上で、
ロケットスタートが出来ました。
売上は、全てを癒します。
売上がないと、何の経費も出ません。
1号店、2号店で、ひたすら売ることだけを目指しました。
逆に言えば、お客様に満足してもらうことだけを目指しました。
売れれば、ロスは出ません。
いつも、商品は入れ替わり、鮮度抜群状態で売り続けられます。
「驚きと感動」の安売りでも、売上高が大きいので、粗利が取れます。
ですから、家賃や人件費などの経費が払えるようになります。
そうやって、比較的短期間に10店舗を超える、フラワーチェーンが出来たのです!
【阿部憲資略歴】
1996年 東京立川に花屋1号店オープン
以降、計30店舗の花屋開設
2001年 株式会社 花良品 代表取締役社長
2001年 日本フローラル協会理事
2007年 株式会社フラワー総研 代表取締役
現在に至る。
【著書(共著)】
「お花屋さんマニュアル」1~4誠文堂新光社
「花屋さんの仕事 基本のき」誠文堂新光社
【TV】
テレビ東京「日比谷花壇 vs 花良品」(30分特番)
テレビ朝日「花良品 vs 青山フラワーマーケット」(30分特番)
NHKBS 「花良品の鮮度保証販売」(5分特集)
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