お店の工事。
初めてお店を作る人にとって、一番未経験で、
不安な事の一つですね。
店舗工事の概要について、述べてみますね。
1、お店の工事 テント
花屋の1号店を作る時、絶対にテントを付けようと思ってました。
1号店オープンの半年ちょっと前に、ヨーロッパに花店や、市場の視察に行きました。
オランダ、ドイツ、フランスの順に行きました。そこで、強烈な印象だったのは、パリのカフェのテントです。
もし、テントが無ければ、カフェじゃない。
テントは、カフェにとって、重要な構成要素になっています。
とりわけ、パリのカルチェラタンで見た、カフェ・ドゥ・マゴ。
若き日のサルトルやボーヴォワールたちが、たむろしていた有名なカフェ。
その、テントが印象的でした。
また当時世界2位の花屋のモンソーフルールのブルーのテントも印象的。
だから立川の1号店にも、絶対にテントを付けようと、思っていました。
そして、グリーンのマットなテント地のテントを付けました。
テントは、店の顔になります。
遠くから、あのグリーンのテントのお店って、お客様に見て貰えます。
そして、2号店の八王子店にも、テントを付けようと思いました。
八王子店は、第一生命の大きな新築ビルで、ビル側がテントをいやがりました。近くの日本生命ビルにも、ビルから出っ張るテントのようなものは、付いていません。
粘り強く3か月交渉し、やっとOKをもらいました。
いまの、日本フラワーも、コーポレートカラーの紫色のテントが、横11メートル×縦1.1メートルでついていて、あの紫のテントの店ですね、というふうに、お客様に親しまれています。
日本フラワーの大きいテントでも100万円もしません。
テントは、店の好感度アップ、視認性の向上に大きな効果を発揮します。
2.お店の工事 照明
店の照明は重要です。
花の場合、お店は明るいに限ります。
出来れば、最初からLED照明にしたいですね。
熱もあまりもちませんし、従来の照明に比べると、消費電力も9分の1程度。
省エネで、地球に優しい照明です。
持ちも通常の照明の5倍は持ちます。
但しお値段は通常の照明の4倍ほどします。
通常の照明ですと、1年ほどが寿命ですので、中長期では、LED照明のほうが、経済的にかなりお得になります。
お店を作ると、皆さんは店内にばかり気をとられ、外の照明を全く考慮していないお店が多いです。
外を照らす装置がまるでない。
中の明かりが漏れるだけ、みたいな。12月の冬至あたりですと、16時ぐらいから薄暗くなり、17時ですと、まるで真っ暗です。
店の入り口が暗い店は、お客様が入って来ません。
日本フラワーは、外もLEDを開店当初から装備し、電気料金も安いので、地域の安全のためにも、23時に自動消灯になるように、セットしてあります。
点灯時間は、日の長さに応じて、変えてあります。
3、お店の工事 内装・外装
新店ですから、最低限のお化粧はしたいですね。
特に、外装。
最初からキレイならば、特に壁面などは塗装など、する必要がありません。
是非、テントをつけて頂いて、お店のキャッチ・ポイントにして下さい。
遠くから目立ちますし、オシャレ。
ほら〇〇色のテントの店よ、って人の話題にもなるような。
もし、外面がキレイでなければ、塗り直したほうがいいですね。
内装は、床、壁、天井です。
花が入っていない時に見ると、目立ちますが、実際に空間が花で溢れますから、壁などは、あまり目立ちません。
花の色が目立ち、汚れが目立たない、薄いベージュ、オフホワイト、薄いグリーン、薄いピンクなどが、お花と調和しやすいかもしれません。
借りた状態がキレイなら、そのまま使えばいいです。
床は、魚屋と違って、水をジャージャー流しっぱなしにはしません。
ただ、バケツの水をこぼしたりして濡れることが多いので、滑りにくい素材がベターです。
お客さんが入る入口や、レジの前などに、レンタルなどのマットを敷いておくと、床は滑りにくくなります。
天井は目立たないので、よほどのことが無い限り、そのままでいいでしょう。
壁に塗装したり、壁紙を貼ったり、床にPタイルを貼ったり、全て、平米いくらで金額が算出されます。
広いほど、コストがかかります。
ですから、店舗を選ぶ時に、現状の状態で使える物件を選びますと、かなり店舗工事費用を抑えることが、出来ます!
4、店の工事 電気・水道
店に電気が通っていないと、照明も光らず、エアコンも動きません。
電気工事、重要ですね。
そこでお金が掛かるのが、業務用エアコン。1基60万超します。
2基で120万円超。
出来れば、エアコン付きの物件だといいですね。
店に冷蔵庫を仮に入れると、動力工事も必要です。
これは、電気の元のところから引っ張りますので、距離によってかなりお金がかかります。
コストのことよりも、冷蔵庫など使わず、早く売り切ることだけを、考えましょう。
コンセントは、出来るだけ多くとっておいたほうがいいです。
部屋の4隅、事務机を置くところ、天井などに重点配置しましょう。パソコン、モデム、プリンター、電話親機、子機、各人のスマホ充電、電気ポット、電気ストーブ、照明など電気を使うものばかりです。
あとから追加工事をすると高いですから、最初にこれでもかと、多めにつけます。
水道工事、水道の栓が、店内まで繋がって来ているか、確認してください。これも、遠くから引くと、お金がかかります。
花屋の作業に水は必須ですから、使いやすいシンクを選んで下さい。
2基あると便利です。
蛇口のアームも、バケツに水を入れやすいタイプのものを、選んで下さいね。
変なものを選ぶと、あとあと作業がしにくくて困りますよ!
5、店の工事 什器・備品
お店の什器は、承りカウンター、作業台、商品を置く棚。バケツを置くテーブル・台、鉢を置く台などです。
承りカウンター、作業台は、いいものですと、表面をステンレスにします。
水に強く、丈夫です。
また、素材はヒノキが最高。
ヒノキなら、ステンレスを貼らなくても大丈夫。
ここは、よく使うところなので、いいものにしたほうが長持ちします。
商品を置く棚でも、テーブル・台でも、ヒノキがいいです。
多く売るためには、機能的に作ったほうがいいです。
でもどの業者、誰に頼むかで値段が違ってきます。
僕が頼めば、産地に近い業者から最安値で調達します。
値段は半分以下です。
蛇の道は蛇です。初めての人と、30回やった人の経験の違いは大きいです。
骨とう品的な、一点ものなどで構成すると、機能面で劣らないものを、選ぶ必要があります。
備品など、例えばイスでも机でも新品を買うと高いので、リサイクルショップなどを利用してもいいですね。
あと、ホームセンターにも、台などパーツになるものは多く売っています。
地元の大きくないホームセンターよりは、関東でしたら、ジョイフル本田がおすすめ。
現物が無くても、カタログで取り寄せも出来ます。
花に関する備品は、花の資材屋さんで、殆ど揃います。
どこで買っても、基本的に売価は同じようなものです。
6、お店の工事 その他
お店の工事は、開店にかかる費用で、一番の費用です。
知っている業者か、知人が良く知っている業者に頼むべきです。
頼む相手は、わかりやすくいうと、工務店です。
工務店はコーディネーター。
工務店が、内・外装業者、電気業者、水道業者、テント・看板業者、什器業者をセットするのです。
工務店が、元請け。
実際にかかる費用は、大きく分けると材料費と人件費。
工事スケジュールを組む時に、長い工程(工事日)を取られちゃうと、人件費がかさみます。
良く、道路工事で穴掘っている人3人。オーライオーライが7人。
てれんこてれんこ、やっていますね。
あれ、ものすごい税金の無駄遣い。
高速道路などの大きい公共工事など受注した日には、下請けも何年も食えちゃう。
お店の工事も同じ。2日で済む工事を、3日もかけ、一人で済む日を、何人も来られちゃうと、何倍の費用がかかります。
植木屋さんも、不必要なほど、人数来て、弁当食べて、お茶にして、いいお金とって行きますよね。
そういうところ、査定できる人、見つけたほうが、工事費下がります。
説得力あるでしょ!
【阿部憲資略歴】
1996年 東京立川に花屋1号店オープン
以降、計30店舗の花屋開設
2001年 株式会社 花良品 代表取締役社長
2001年 日本フローラル協会理事
2007年 株式会社フラワー総研 代表取締役
現在に至る。
【著書(共著)】
「お花屋さんマニュアル」1~4誠文堂新光社
「花屋さんの仕事 基本のき」誠文堂新光社
【TV】
テレビ東京「日比谷花壇 vs 花良品」(30分特番)
テレビ朝日「花良品 vs 青山フラワーマーケット」(30分特番)
NHKBS 「花良品の鮮度保証販売」(5分特集)
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