目次
1、一人で運営するお店
花屋を経営する。
経営をしっかり続けて行くためには、
常に、収入が支払経費を上回っている必要があります。
例えば家賃が、月20万円だとします。
人を雇えば、一人20万円。
合わせて、40万円。
これは、最初からリスクが40万円ということです。
だから、定休日を設けて一人でする。
人は雇わない。
これは、まっとうな考え方です。
多少の経験者なら、ひとり一日5万円は十分売れる。
そうすると、月150万円の売上。
業界平均の利益率は45%ですから、
67.5万円が粗利です。
他に変動費と固定費の合計で平均18万円。
67.5万円-20万円(家賃)-18万円=29.5万円が営業利益です。
奥様花屋なら合格。
所帯主ですと、少し苦しいところかもしれません。
今回は,何としても一日5万円売れる花屋の物件を探してみたいと思います。
2、どのようなマーケットを狙うか?
これ、現在応援させて頂いているお花屋さんを念頭において、
お話させていただいております。
絵空事ではありません。
彼女の家は、西武新宿線です。
運転が出来ます。
どのようなマーケットを狙うのか?
一言でいうと、売れやすいエリアを狙います。
2-1 人が多く住んでいる所を狙う
彼女の家は、西武新宿線です。
でも、地図をよ~く見て下さい。
西武新宿線は、中央線と西武池袋線に挟まれた狭いエリアです。
ですから、駅前ならともかく、一番狙うべきは中央線沿線。
どの駅も乗降客数が多いです。
次に、西武池袋線。
次に西武新宿線。
例えば、JR中央線の荻窪駅の乗降客数は約16万人。
西武池袋線の大泉学園は7万人。
西武新宿線の上石神井は4万人程度です。
それだけ住人の数や、町のサイズが違うことは違うのです。
荻窪は、パルコ・西友・タウンセブンだけで10000坪。
上石神井の西友は500坪ぐらいでしょうか。
それだけ、町の吸引力も違います。
2-2 街の質
街の質。
花は売れやすい街と、そうでもない街があります。
客層という意味では、
荻窪も大泉学園も上石神井も、
いい住宅地で、とても良いです。
知識階級が多いので、
コミニュケーションツールとしての花束が売れる土地柄と言えるでしょう。
お寺や墓地の街という性格の街ではありませんが、
一軒家の多いエリアですので、仏壇のある家が多く、
普段、あるいはお彼岸などには仏花はいけると思います。
荻窪には、杉並公会堂、大泉にはゆめりあホールがあり、
特に地元住民が参加するイベントの際は、
相当花束が売れると思います。
大きな街ほど、ホールやイベントが多いでしょう。
花の売れる理由が多い街を探します。
いくら人通りが多くても、
原宿のように中学生ばかりですと花は売れません。
新橋、神田のようなオフィス街でも、
送別会シーズンでないと、花は売れないです。
街のサイズや人通り以外にも、
花が多く売れる要件がある街の質が重要です。
2-3臨機応変さと物件の見極めが必要
例えば、大きい街の荻窪の町はずれであれば、
小さな街の上石神井の駅近のほうがいいですね。
もちろん賃料の問題があります。
荻窪ですと、駅に近いと月坪賃料5~6万円します。
賃料20万円が目標ですから、
月坪2万円×10坪ぐらいのところを狙います。
同じ20万円なら、どこの街のどの20万円の物件が売りやすい物件か、
判断しなければいけません。
3、視認性が徹底的に重要
裏道とか、わかりづらい場所にお店を出すのは最悪です。
バスも通ってないところで駅から10分以上離れている場所。
誰もその場所に通常通りません。
駅の比較的近い人は、下手するとそこに花屋があることさえ分からないかも知れません。
例えば、駅から幹線通り沿いにあり、そこを通らないと駅に行けないところ。
そこなら、いやでも人々の目に付きますね。
駅から離れているから、賃料は安い。
いい店づくりしていれば、人は気になる。
東京都は70歳以上の住民は、
年間1000円払えば、バス代はタダ。
無料で乗り放題です。
駅から極端に遠くなく(徒歩10分ぐらい)、
そちらの方向に町が拡がっていく、
扇の要の位置がいいですね。
賃料安く、多くの人が来店してくれる可能性がある。
そのような物件の探し方をしたらいいですね!
4、いい物件とは?
4-1 店の形
例えば横8m×奥行4mの物件と、
横4m×奥行8mの物件、どちらが有利ですか?
分かりますよね。
当然横長の物件が有利です
この場合同じエリアで同じ坪数なので、家賃は同じです。
横8mの店は、横4mの店よりも倍、立派に見える。
全然違うサイズに見えるんです。
店の横の長さは、店の視認性に大きい影響を与えます。
4-2 セットバックしている店
お店が道路ギリギリに建っている店と、
お店が道から1m2m下がって建ってる店。
お店が下がって建っている店を、セットバックしている店と言います。
セットバックしている店は有利です。
店の前に商品を置けることが多いので、10坪の契約でも実質15坪使えたりします。
店の外の花は、直接よく見えます。
安ければ衝動買いを誘い易いですし、
人が花に群がって来ます。
人も蝶や蜂のように、花が好きなのです。
店内の花は、日中はガラスなどに反射して見にくいのです。
マンションなどは、道から〇m下がって建てなさいという行政の指導があることが多いので、
幹線道路沿いのマンションの1階の物件は狙い目です。
4-3 店の向き
店の向きは何向きがいいでしょうか?
出来れば北向きがいいです。
お店の花の難敵は太陽です。
花を作る時と、市場からの花を持つ状態に保つことは、
話が全く違うのです。
花を作る時は、太陽は神様です。
太陽のエネルギーを取り込んで、蕾を付け、花や実ができます。
市場から来た花屋の花は、太陽に当てると直ぐに開いてしまいます。
物販にとって、太陽は厳しいです。
衣服は焼けますし、食べ物は腐りやすくなり、
また夏など、店内温度が上昇します。
夏でも、北向きですと、表に観葉植物を出しておいても大丈夫です。
夏の太陽に観葉植物が当たると、葉やけしてしまいます。
太陽さえ当たらなければ、高温でも大丈夫なんです。
春、秋、冬、切り花を外に置いて置いても、
北向きなら大丈夫です。
北向きですと、太陽を気にせず、売り場の前面を作ることが出来ます。
5、お客様の来店手段に合ったお店
お客様はどこから来るのだろうか?
このことをよく考えないと商売できないです。
5-1 地図を良く見る
自分のお店に対して、来てくれる可能性のある町は、
地図をみればすぐ分かりますね。
遠くの町は、隣の駅や別の駅が近いので、その町の人は来ないです。
来る可能性のある町の人口は、市役所や区役所のホームページで調べられます。
例えば開店チラシを打つ時に、部数の計算が出来ますよ。
5-2 自転車で来るお客様
お客様が自転車で来るのですから、自転車を停める場所が必要です。
駅に近いところでしたら、自転車駐禁の歩道が多いので、注意が必要です。
店が余りにも道路間近ですと、自転車が停めづらいことになります。
あの店は自転車停めにくいので行かない、ということになります。
5-3 車で来るお客様
お客様が車で来るのですから、車が停められる駐車場が必要ですね。
単独店舗ですと、殆どのお店は専用の駐車場がありません。
ですから、車で来るお客様用に、付近のコインパーキングと提携しなければなりません。
車で来てくれるお客様は、客単価が高いものです。
手で持たないで済みますので、切り花でも園芸でも多く買ってくれます。
胡蝶蘭や観葉植物なども、持って行って貰えますので。
ですから、極力、付近のコインパーキングと提携して下さい。
【阿部憲資略歴】
1996年 東京立川に花屋1号店オープン
以降、計30店舗の花屋開設
2001年 株式会社 花良品 代表取締役社長
2001年 日本フローラル協会理事
2007年 株式会社フラワー総研 代表取締役
現在に至る。
【著書(共著)】
「お花屋さんマニュアル」1~4誠文堂新光社
「花屋さんの仕事 基本のき」誠文堂新光社
【TV】
テレビ東京「日比谷花壇 vs 花良品」(30分特番)
テレビ朝日「花良品 vs 青山フラワーマーケット」(30分特番)
NHKBS 「花良品の鮮度保証販売」(5分特集)
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