これからの永続する花屋の在り方

5月の2段階の緊急事態宣言の解除。

5月25日に、残っていた東京・神奈川・埼玉・千葉・北海道が解除されました。

業種や地域によりまだ営業自粛が求められていますが、

6月に入りデパートや駅ビル、ショッピングモールなども営業再開されつつあります。

花屋も2月末から苦しい展開を強いられていましたが、

母の日以降、徐々に平常を取り戻して来ています。

この間の教訓を踏まえながら、

花屋を永続させるにはどのようにしたらよいかを、

いい機会なので考えてみたいと思います。

1、緊急事態宣言下でわかったこと

1-1 お彼岸の売上は落ちなかった

3月もお彼岸前までは、街も元気が無く、

売上は激減状況でしたが、

3月の最大イベントの一つである御彼岸の花販売は、

前年度比90%程度まで踏ん張りました。

花屋の経営にお金が必要ですから、

御彼岸販売の収入で首の皮がつながった花屋さんも、

多かったことと思います。

生活者も自粛しながらも、

日本独特の風習である御彼岸の仏壇、墓参りはしっかりされたようです。

これは、日本人の美徳です。

嬉しく思います。

 

1-2 就任祝いの胡蝶蘭の売上は例年通り

日本の企業や役所の会計年度が4月はじまりのところが多いことから、

偉い人の人事が4月1日付が多く、

4月1日着の御就任祝いの胡蝶蘭が多くご利用されます。

今年も大企業の社長・会長の4月1日の人事が多く、

胡蝶蘭販売は順調でした。

胡蝶蘭扱っていないと、もちろん特需はありません。

普段から力を入れている花屋のみが売れるんです。

 

1-3 母の日売れました

東日本大震災の時もそうでしたが、

人は逆境にあると「家族の絆」を強く感じるもの。

母はどんな時でもいつでも、あなたを守って来た。

今年の母の日は、爆発的でした。

ゴールデンウイークは、ステイホームの状況下でした。

皆さん、遠出しないで家にいましたので、

母の日通販がよく売れたようです。

カーネーションの鉢など業者間の取り合いで、

母の日間際の競りは荷物が少なく、

去年の倍の単価でした。

もちろん営業できたお店はどこでも売れていました。

駅ビルや専門店ビル、ショッピングモールなどは営業出来なかったお店もあり、その分も回って来たようです。

母の日以降、明らかに花屋には活気が戻って来たようです。

 

1-4 野菜・ガーデニング売れています

ステイホームで家にいますので、

野菜作ろうかな?

ガーデニングやろうかな?

という人が増えたようです。

野菜はこの10年来、一番売れた感があります。

インターネットでYouTubeを見ると懇切丁寧に野菜の育て方がわかり、

野菜作りのバーが下がっています。

 

1-5 初めて切り花を買う人が増えました

ステイホームやテレワークなどで、

家にいることが多くなりました。

どうしても家に籠ってしまうと、

人は花や緑が欲しくなります。

花と緑は、心の栄養なんですね。

店頭にいると、今まで見たこともない若い人(主として女性)が来店されました。

聞いてみると、皆さんテレワークでした。

企業の人、役所の人。

切り花を求める人が多かったですが、

同じようにミニ観葉を求める人も多かったです。

花の本来的な効用が見直されつつあると感じました。

 

1-6 スーパーの花屋は売れました

緊急事態宣言で、トイレットペーパーやティッシュペーパーの買い占め騒ぎがあり、またステイホームで家での食事機会が子供・大人とも大幅に増えて、スーパーの売上は増進しました。

スーパーの花屋はその恩恵を受けて、まずまずの実績でした。

 

1-7 新型コロナウイルスで売れなかったもの・こと

新型コロナウイルス対策では、

3密を避けることが基本命題でした。

密閉・密集・密接を避けることです。

緊急事態宣言も、この3蜜を社会的に避けることが、

第一目標であったでしょう。

3月は花屋にとっての大きなモチベーションである卒業式がありました。

大体の学校では、限定された形での卒業式があり、

卒業生は何らかの花をもらえたらと思います。

しかしながら、飲食を伴う謝恩会などは開かれず、

先生に渡されるはずの膨大な量の花束の注文は来なかったです。

また、結婚式は中止か延期で、かなりの中堅のブライダルの花の業者も、3月の売上ゼロのところもありました。

4月も同様です。

また、演奏会などのイベントみんな中止。

演奏会は壇上の花、演奏者への花束など、

一式請け負うとかなりの受注額になります。

全部パア。

またスナックやサロンなど、夜の世界もほぼ全面封鎖。

ママのお誕生日や、周年記念など花が多く動く世界ですが、

そちら方面の売上もゼロに近いものがありました。

あとは、お葬式。

お葬式もブライダル同様、3密になってしまうので、

通夜を省いたり、直葬(お棺に入れて、葬儀抜きで火葬場に直行)したりで、例年通りの売上はとても取れない状況でした。

 

2、今後どのような花屋が有利になるのか?

2-1 地域の需要が万遍なく取れる花屋

1で見てきたように、新型コロナウイルス下のステイホームでも、

日頃とはさして変わらず売れた花がありました。

人はいざという時に、家にいることが基本であることがよくわかりました。

家にいれば、必ず必要な食料があります。

同じように、家や人の生活にとって必要な花は売れるのです。

仏壇やお墓があれば、仏関係の花が売れ、

庭やベランダがあれば,

野菜や苗ものが売れるのです。

御誕生日や結婚記念日、母の日があれば、

ギフト用の花が売れるのです。

今回は、地元密着でお客様の花生活に資する地元密着型の花屋が健闘しました。

また、就任祝いの胡蝶蘭や、年度末の役所や企業の送別の花束も、

変わることなく売れていました。

このように、地域の花の需要を総取りできる花屋は、

収入の柱を多く持てるので、有利だと言えます。

 

2-2 葬儀・ブライダル需要主体の花屋

通常であれば、葬儀やブライダルなど業務需要主体の花屋は、

売上も大きく、利益率も高く、安定した売上が取れるものです。

今回のように3密を避けるために葬儀やブライダルそのものが無くなると、収入が大幅に減ります。

ですので、こういう事態が再び起こらないとも限らないので、

やはり、通常の家庭の花が売れる花屋部門を再構築する必要があります。

 

2-3 ネット販売の参入への検討

花の需要さえあれば、花はどこかで売れる訳です。

花屋は雨、風、暑い、寒いで売れないです。

ネット販売は雨、風、関係ありません。

暑い寒いも関係ありません。

24時間、365日、全国営業出来るのです。

お客様からすれば、わざわざ店に行かなくても、

移動しなくても、花を買えるんです。

今年の母の日は、ゴールデンウイークのステイホームで、

ネッと通販が大変売れました。

ただ、売れるリアルの店が、売れる理由が備わっているように、

ネット販売も売れるものでないといけません。

品揃えやネットサイトの作りがそもそも良いこと、

そして皆に見てもらえるように、

検索された時に、上位に表示されること。

リアルのお店を作るほどではありませんが、

最低100万円程度の投資が必要です。

また毎日毎日メインテナンス出来る人材や、

上位表示されるためのタイムリーな宣伝費も必要です。

もちろん商品が必要ですから、

既存にお店を持っている人の方が有利です。

ネットで注文が来れば、店の在庫を活用出来ますので。

ネット販売が成功するためには、

リアルの店を成功させるぐらいのエネルギーが必要です。

 

【阿部憲資略歴】

 

1996年 東京立川に花屋1号店オープン

      以降、計30店舗の花屋開設

2001年 株式会社 花良品 代表取締役社長

2001年 日本フローラル協会理事

2007年 株式会社フラワー総研 代表取締役

      現在に至る。

 

【著書(共著)】

「お花屋さんマニュアル」1~4誠文堂新光社

「花屋さんの仕事 基本のき」誠文堂新光社

 

【TV】

テレビ東京「日比谷花壇 vs 花良品」(30分特番)

テレビ朝日「花良品 vs 青山フラワーマーケット」(30分特番)

NHKBS 「花良品の鮮度保証販売」(5分特集)

 

 

 

 

 

 

 

 

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